電話で恋を始めた

恋人と呼ぶにはあまりにも幼過ぎるし、友達と呼ぶには特殊な感情を持ち過ぎる。そんな恋をした事があります。高校時代、僕は初めて彼女と呼べる相手ができました。彼女とはちょっとしたイタズラがきっかけで仲良くなったのでした。
そのイタズラとは、電話の混線を利用した、いわゆるナンパです。電話のサービスに、時報のサービスがありますよね。「プッ、プッ、プッ、ブーン。ただ今から、○時○分○秒をお知らせします」というアレです。今はそんなことはないのですが、昔はアナウンスの合間合間であらゆる声が混線してた。いろんな人の声が入っていたのですね。それで誰かの声を聞いて、それが女性であれば、すかさず自分の電話番号を言うのです。うまく相手に伝われば、すぐに電話がかかってくるという仕組みです。男子校に通っていた僕は、まったく女性に縁がありませんでしたから、けっこうコレで遊んでいたのです。と言っても、この方法で知り合って、実際に相手と会った事は三人だけでしたが。
女っ気がなかった僕には、女性と仲良く話ができるだけで満足でした。僕が顔を合わせた三人のうちの一人が、実は僕のお気に入りの女の子だったのです。彼女は僕よりも一つ年下で、家も近所でした。気に入ったと言っても、彼女が飛び抜けてキレイだったというわけではなく、どちらかと言えば、とてもカワイイ子でした。見ているとなんかそばにいたい、そんな気持ちにさせられる不思議な子でした。
初めて彼女に会ったのは、電話で知り合ってから三ヶ月後の事で、それまではもっぱら電話だけの話し相手だったのです。よほど警戒をしていたのか、なかなか会ってくれませんでしたね。その年のバレンタインのときに、チョコレートをあげたいと言う事で、初めて彼女に会ったのです。彼女はとてもほっそりとした高校一年生の女の子でした。僕は典型的な男子校生でしたから、こんなときにはどんな話をしていいのかまったく分からなかった。なんだか妹と話してるようでした。

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